鉄筋コンクリート構造物の耐震診断(耐震調査) 斫ることで見えてくるコンクリートの施工不良 ジャンカ(豆板)の例 [耐震診断(調査)]
コンクリートを斫る(はつる)とモルタルが予想外に厚塗りされていたり、
コンクリートにジャンカ(豆板)が現れてきたりすることが珍しくありません。
昭和30~40年代頃の高度成長期に建設された建築物のコンクリート(躯体)には、
施工不良や施工精度を表面のモルタルで隠してしまっていることがよくあります。
型板に使われていたと思われる木片が出てくることもあります。
コンクリートの施工不良に起因する躯体(構造体)の劣化や欠陥が多い場合は、
経年指標(※)を集計する際に減点要素として加味して取りまとめを行ないます。
※経年指標:耐震診断の際に使われる指標のひとつで、構造体に生じている
劣化や欠陥が建物の耐震性能への影響性を評価するための指標
▲コンクリートの斫り状況(セパレータが露出している)
▲コンクリートに発生したジャンカ(豆板)が補修がされないままモルタルで隠されている。
当社HP https://www.kyushu-techno.co.jp/
鉄筋コンクリート構造物の耐震診断(耐震調査) 躯体のはつり調査 鉄筋調査 中性化試験 [耐震診断(調査)]
鉄筋コンクリート造による構造物の耐震診断を行う場合、
一般に柱のコンクリートを斫り(はつり)、内部の鉄筋を露出させることにより
鉄筋の腐食度や種別を確認したり、コンクリートの中性化深さを試験したりします。
斫り調査をおこなう際は、鉄筋を傷めないよう、鉄筋探査により鉄筋調査を
行ったうえで斫り位置を決定します。
各階3か所づつ同様の調査を行い、調査結果の集計を行います。
一般的にこの調査のほかにコンクリートコアを採取し、圧縮強度を試験する調査も行います。
▲コンクリートの中性化試験(耐震診断)
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コンクリート圧縮試験の試験方法 [耐震診断(調査)]
建築物の耐震診断を実施する際に必要となる大事なデータの一つが既存建築物のコンクリート圧縮強度があります。
具体的には、建物からコンクリートのコア(供試体)を専用の機械を用いて採取します。一般的には直径75~100mm、長さ100~200mm程度の円柱状のコンクリートを各階3本を基本として採取します。
採取したコンクリートは試験機関に持ち込んで試験のための処理(試験に適合した形状にコアを整形します)をした上で圧縮試験機にて強度を測ります。あくまで経験値ではありますが、耐震診断を実施する建物は一般的には20~30N/mm2程度の強度を示すことが比較的多いようです。土木系のコンクリートでは施工後の経過年数が30年以上経っているようなコンクリートでも40N/mm2台の結果が出ることもあります。
構造物を施工した際の資料が残っていれば、コンクリートの設計強度との比較などもし易いのですが、実際にはそのような資料はほとんどないのが普通です。
試験に使用するコンクリートコアを用いて中性化深さや塩化物量の試験も併せて実施したりもします。これらの試験をすることで現在におけるコンクリート本体の劣化度(健全度)をある程度確認することが可能になります。耐震診断に限らず建物の改修や現況を把握する際の調査としてもよく利用されます。
▲コンクリートの圧縮試験(機械の中央に据えられているのがコンクリート供試体)
当社HP http://www011.upp.so-net.ne.jp/techno/