建物を建てるためには... まず土地探しから(敷地の確認) [建築工事の現場]
建物を建てるためには当たり前ですが土地(敷地)が必要です。既にその土地(場所)が決まっている場合はよいのですが、そうでない場合はまず土地を探さなくてはいけません。
土地を探すためには、希望の場所、広さ、予算、周囲の環境など色んな条件が絡んでくるので簡単な作業ではありません。
建物を建てる土地ですから、予定している建物の用途や大きさ、駐車場の有無なども含めて検討することも必要になってきます。想定でもよいので、出来る限りイメージを膨らませて土地探しをした方が、検討している土地が適当な土地なのかどうかイメージしやすくなります。
意外と見落としがちだけど超重要!という確認事項もあります。例えば、検討している土地がきちんと道路に面しているのか?(建築を建てる際には道路と土地の接道について決まりがあります。)、上下水道や電気、ガスといったインフラ関係の設備が整っている場所なのか?(水道の代わりに井戸、下水の代わりに浄化槽、ガスはプロパンガスなど、自前で整備するのが普通の地域もまだまだ多いですので必要に応じた確認にはなります。)、その土地の地盤は建物を建てるうえでしっかりとしているのか?などなど… ここまでの話になると一般の人たちには難しい話になってきます。でも土地探しをする際には重要な確認事項になります。
土地に希望する条件や確認事項は考えると色々ありますが、オールマイティな土地なんてほとんどないのが普通です。(あったとしても土地価格はそれなりに高くなるはずです。)、妥協できる条件や土地の購入後に対処できる部分についてはとりあえずOKとするなどの判断も土地を決めるうえで最終的には必要かと思われます。
▲ ある土地探しの現地写真(売地ですから雑草が伸び放題!ということもよくあります。)
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屋根のトップライトから漏水が発生。その原因は? [定期点検(建築・設備)]
建築の定期点検(調査)や外壁調査の付帯調査として、当社では建物の屋根(屋上)の点検もよく行います。
具体的には、防水層や屋根葺き材の劣化、ルーフドレイン(雨水を樋に流す中継部分)に土砂等による閉塞がないか?また金属製手摺に発錆・腐食によるぐらつきがないか?など、調査対象の建物仕様に応じて様々な項目を確認します。
先日点検した現場では、樹脂製のドームで出来たトップライトの周囲に多数のひび割れが確認されました。(写真参照)これでは雨が降るとこのひび割れから雨水が室内へ侵入してしまいます。また、ドームの内面には結露が発生していました。真冬のトップライトの内外では気温差がかなり大きくなているためだと思われます。
①雨水の侵入(=漏水)および、②トップライト内外の気温差による室内側の結露、この二つの原因によるものと思われる室内の壁の痛みや劣化がこの現場では確認されました。
トップライトは、採光を確保する意味では有効な窓ですが、雨仕舞い上のトラブルが発生しやすい部分でもあります。きちんと維持管理をしないと上記のような劣化を生じやすいため注意が必要です。
▲劣化したトップライト(樹脂製のドームの周囲にひび割れが発生している)
▲トップライトの周囲に発生しているひび割れ(雨水が侵入しやすい状態)
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コンクリート圧縮試験の試験方法 [耐震診断(調査)]
建築物の耐震診断を実施する際に必要となる大事なデータの一つが既存建築物のコンクリート圧縮強度があります。
具体的には、建物からコンクリートのコア(供試体)を専用の機械を用いて採取します。一般的には直径75~100mm、長さ100~200mm程度の円柱状のコンクリートを各階3本を基本として採取します。
採取したコンクリートは試験機関に持ち込んで試験のための処理(試験に適合した形状にコアを整形します)をした上で圧縮試験機にて強度を測ります。あくまで経験値ではありますが、耐震診断を実施する建物は一般的には20~30N/mm2程度の強度を示すことが比較的多いようです。土木系のコンクリートでは施工後の経過年数が30年以上経っているようなコンクリートでも40N/mm2台の結果が出ることもあります。
構造物を施工した際の資料が残っていれば、コンクリートの設計強度との比較などもし易いのですが、実際にはそのような資料はほとんどないのが普通です。
試験に使用するコンクリートコアを用いて中性化深さや塩化物量の試験も併せて実施したりもします。これらの試験をすることで現在におけるコンクリート本体の劣化度(健全度)をある程度確認することが可能になります。耐震診断に限らず建物の改修や現況を把握する際の調査としてもよく利用されます。
▲コンクリートの圧縮試験(機械の中央に据えられているのがコンクリート供試体)
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特殊建築物の定期点検 [定期点検(建築・設備)]
建築基準法に基づく特殊建築物の定期報告制度が平成20年に義務化されて以来、建物の定期点検業務が一般化しつつあります。
特殊建築物の定期点検は建築と設備を分けて実施することが多いようです。基本的には、建築点検(行政用語上、建築は点検ではなく調査となっている事があります。)を3年以内、設備点検を1年以内ごとに実施することとされてます。
建築および設備の点検では、確認項目が多岐に渡るため、私たちも実際に点検を行う際は、チェックシートを持参し、確認事項の漏れがないかを気にしながら業務を行ったりします。
非常用の設備や装置など、普段は気にしなかったり触ることもないような部分の作動確認を行ったりもします。竣工後の経過年数が長い建物ほど、経年による様々な劣化や不具合が多くなります。
簡単に言うと、定期点検は人間でいう定期検診と同じです。異常や不具合の早期発見そして早期の対応が、建物の寿命の長期化に直結します。
▲排煙窓の作動確認状況(火事の際に煙を排出する窓の開閉確認)
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外壁調査方法の選定について [外壁調査]
建物の外壁改修を実施する前には事前調査を行い、現状における建物の劣化状況を確認することが必要です。(なかには事前の調査を何も調査せずに、すぐに改修工事に入ってしまうケースもあるようですが、結果的に工事費の増大に繋がることが往々にして多いと思われるため当社としてはお勧め出来ません。)
建物の外壁改修工事伴う事前調査(劣化調査)として最も一般的な方法は目視および打診による調査です。目視調査は、言うまでもありませんが、目視により壁面のひび割れや鉄筋の爆裂などの劣化を確認します。打診調査では、目視では分からない壁面(モルタル)の浮き部を、専用のテストハンマーを用いて調査します。
この方法(目視および打診による調査)は、簡易でかつ調査精度も安定しているため一般的に普及している調査方法です。但し、打診調査の場合は文字通り、壁を叩いて調査をするため、地上から高い位置にある壁面の調査を必要とする際は、足場を仮設したり、高所作業車やゴンドラを使って調査を行ったりします。調査用の足場も設置できないこともありますのが、そのような場合は赤外線カメラを使った調査にて劣化部をある程度判断することも可能です。
調査対象の建物の配置条件や、発注者からの指示を受けた調査条件等を元に、最適な調査方法を検討した上で事前調査を実施します。
▲高所作業車を使った壁面の打診調査
当社HP http://www011.upp.so-net.ne.jp/techno/赤外線カメラによる熱画像の盲点 [赤外線調査]
赤外線カメラ(赤外線サーモグラフィ)による画像は、テレビでもニュースやその他の番組でも時々出てくることがありますので、知っている人も多いと思います。
ただ、意外と知られていないこととおもいますが、実は赤外線カメラによる熱画像に表示されている温度は、写されている物体の正確な温度を示しているとは限りません。
全ての物体は赤外線を放射しているのですが、その放射率(物体が赤外線を発する量)は物体の種類により異なるため、熱画像に表示されている温度は厳密には実際の温度よりも程度の差はありますが若干低めになったりします。
そのような赤外線の特性を理解したうえで赤外線カメラを取り扱いしないと、調査における誤診につながることがあるため注意が必要です。当然ですが当社にて赤外線カメラを使った調査を実施する際はそのことには気をつけています。
▲赤外線カメラによる建物外壁の熱画像写真(高温域に異常が疑われる)
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